「高価なパンスト」グムのウインドウと地下鉄の駅
高価なパンスト・グムのウインドウ、シェルター代わりの地下鉄の駅
モスクワは大都会?人が多い。車も。
まずはクレムリン赤の広場に行った。
テレビなどで戦車などが行進している姿を見たあの広場。やはり広い。
そして共産党大会の後など書記長や党幹部が顔を見せるお立ち台のようなところ。
「なるほどここがそうか。」
ここは日本でゆう皇居のようなものだからロシア人のお上りさんらしき人も多い。
警官か兵士のような制服を着た人間が、集合写真を撮っている。
広場をはさんで反対側が「グム」というロシア最大の百貨店である。
そしてクレムリンにむかって左手にはネギ坊主のようなモスクのある寺院。
レーニン廟の前には衛兵が立っている。
まさしくソ連だ。モスクワだ。
夜、私以外の三人は地下鉄を乗りに行っていたようだ。
私は一人で赤の広場に夜景を撮りに来た。
どこの国の人か判らないが何人かやはり夜景を撮影に来ている人がいた。
ただとっても失礼な言い方かもしれないが持っているカメラが
みんなかなり旧式なようでみすぼらしい感じのモノだった。
一眼レフでズームレンズをつけたカメラを持つまだ若い私を見たら、外国人から見れば
日本とは贅沢の国だと見えるのもおかしくはないかもしれないなどと思ってしまった。
この時、日本を出るとき三脚を持って来ようか迷い、
最後にはやめたことをちょっと後悔した。
結局iso1600のフィルムを3200に増感し、手持ちで撮影した。
出来上がったモノは当然の事ながら粒子が荒れ荒れの、
色の悪いモノになってしまい残念だった。
グムのウインドウには明かりが灯っていた。
その前には人が立ち止まりモノ欲しそうに見ている。
中を覗くと女物のパンティーストッキングがうやうやしく飾ってあった。
そういえば日本を出発する前にかすかに聞いた覚えがあった。
「パンストを持っていくとソ連では高く売れるぞ!」と。
誰が言ってたのかわからないが、はたして実際にその様であった。
翌日は私もみんなと一緒に地下鉄に乗ってモスクワの郊外へ行ってみた。
地下鉄は自動改札でコインを入れると通 れるというモノで、
近くに制服を着たおばちゃんの駅員?あるいは婦人警官?
が鋭い目で見ていたのは印象に残る。
何処まで云っても同じ値段、コイン一枚。
エスカレータで地下深く降りていくのだが、これが角度が急でしかも速い。
東京でエスカレータなど乗り慣れていたはずなのに
一瞬怖くて躊躇してしまうくらい速いの だ。
何とか乗ったら、みんな片側に奇麗に寄っていて、
アベックも男が低い段、女が高い段に立って抱き合ってたりする。
ちょっと高所恐怖症気味の私は乗ってるだけでも怖いのに
その横を急ぐ人がすごい勢いで駆け下りて行く。
「ヒィヨエー。なんだこれ〜」とビックリしてしまいました。
ながいなが〜いエスカレータを降りてホームに着いた。
壁に立派な彫刻が施されていてまるで美術館のような雰囲気だった。
オーリャと話したが、こんなに深いところにあるというのは
有事のための核シェルターを兼ねているかららしい。
地下鉄に乗って、着いたところはさしずめ
「モスクワの多摩ニュータウン」か「高島平団地」と云ったところか?
乳母車を押すお母さん。
自転車をこいで楽しそうに遊んでいる小学生ぐらいの女の子たち。
モスクワの中心部と違い、住んでる人間の息づかいや生活感を感じるような気がした。