カオス?! ハオス?!酔っぱらいと錨のマークとパニマユシュ
カオス?! ハオス?! 酔っぱらいと錨のマーク
当時4人の中でタバコを吸っていたのは唯一ハタボノフだけでした。
車内ではコンパートメントはもちろん廊下?でも禁煙、
車両と車両の連結部分のデッキでしか吸うことができなかった。
デッキにでる扉の横には木製のゴミ箱があり、その前には酔っぱらった初老のおじさんがいて、近くを通うろうとすると「ハオス!ハオス!」とヨロヨロしながらふたを開ける。
なんだか知らないが楽しそうである。カオスは「混沌」と言うような意味の言葉だ。
ロシア語では「k」「h」があいまいであり、カオスがハオスになっているのかもしれない。わたしも通訳のロシア人が呼ぶのを聞くと
「ハタボノフ」が「カタボノフ」と聞こえるのであった。
デッキはちょっと寒いのだけれど窓から外を見ながらタバコを吸っているとロシア人のおじさんがやはり吸いに来た。
ソ連製の両切りのタバコなど奨めてくれたりした。
沈黙が苦しくて言葉がわからないながら身振り手振りで何かを話さねばとやってみた。
シベリアのこの平原には動物が何かいるのか、ウサギの格好をしたり手で狐のような形を作ったりしたがお互いわかってるのかわかっていないのか??
何かがいるというのはわかってもそれが何かはわからない。
結局また沈黙は続き、そのうちにおじさんは吸い終わって車両に戻ってしまった。
おじさんと交代するかのように、背が高くがらの悪そうなロシア人が来た。
そしてそぶりで火を貸してくれと。百円ライターでつけてあげると「見せろ」と言うそぶり、それを見ながら感心したように今度は「くれ」というそぶり。
他にライターを持っていなかったので「困るあげられない」とこちらもそぶりで。
しばらくの沈黙。横目で良く見ると、腕に錨の入れ墨。
こいつはあんまり係わらない方がいいなと思い。
火を消しその場を退散してきたのでありました。
夜になって、3人のロシア人がコンパートメントに遊びに来た。
うちひとりは昼間の腕に錨の入れ墨男だった。
オーリャがロシア語で聞いたらこいつはカムチャッカの水兵らしい。
一人のやや長髪の男がトランプ遊びをしようと我々に一生懸命教えるのであった。
オバチャマノフスカヤや松沼兄弟も呼んできて
みんなでわいわいアーでもないコーでもないと
そのゲームのルールを理解しようとするのだが良くわからないのである。
長髪の男が何度もやってみせて「パニマユシュ(わかったかというくらいの意味!?)」「パニマユシュ」と我々に言うのだがさっぱりわからんのであった。
ついにこの「パニマユシュ男」はお手上げというそぶりで去って行ったのであった。
「「パニマユシュ男」はただ単純にトランプで遊びたかったのか、それともトランプで我々からお金を巻き上げようと考えていたのか。
松沼兄弟が、日本の大貧民とかページワンとかを教えようとしたがそんなのはつまらないというそぶりだった。「パニマユシュ男」がトランプ遊びの説明をしている間、オーリャやハヤサカ氏は水兵に何かよこせとか、チェインジしろと凄まれていたらしい。
その辺から考えるとやはり巻き上げようとしていたのかもしれない。
結局彼らは何だったのか?後々よく話題にのぼったのであった。